頭痛・片頭痛の鍼灸治療

頭痛に対する中医鍼灸

頭痛と中医鍼灸  本治療院では項叢刺ならびに排刺にて頭痛の治療を行います。施術においては深層筋への施術を目的に病巣への得気(ひびき)を重視して施術します。
 頭痛は内科的疾患に比べ、即効性が高く、緊張型頭痛ならびに片頭痛については痛みもすぐに治まりやすい傾向があります。

【項叢刺】
 全部で15穴点あります。項叢刺は、脳卒中による片麻痺、癲癇、頸椎症、神経症などに適用されます。
(1)名前のある穴位が3穴:瘂門、風府、下脳戸
(2)無名穴12穴:両完骨(乳様突起後下方にある陥凹中)を両点とし、頭蓋骨底に沿って線を引き、それを12等分します。各1等分が1穴位となります。
※項叢刺の穴位は延髄付近にあるため、深刺する場合には細心の注意を払いながら施術を行います。

 項叢刺法は、頸項鍼療法のひとつであり、『中華特殊針』には以下のように記載されています。
 「頚項鍼療法とは、後頸部の穴位に刺鍼して疾病を治療する方法で、神経系統の疾患に最も効果があります。なお、頚項鍼療法は、「頸鍼」、「温通督陽法」、「項叢刺法」の三法があります。
1)頚鍼
 前頸部で、足の陽明胃経から人迎、水突、気舎を取って叢刺鍼法を行う。
〔臨床応用〕心臓血管障害、高血圧、気管炎、喘息、肺疾患、自律神経の乱れ、ノイローゼ、更年期障害など
2)温通督陽法
 督脈の風府、瘂門、、下脳戸、風池を取り、鍼柄に艾をつけて燃やす。この方法は督脈穴を主にしており、温度によって体内の陽気を通じさせる手技である。
〔臨床応用〕脳卒中の後遺症、球麻痺、脳震盪、片頭痛、難治性頭痛、視神経萎縮、喉頭炎、慢性咽頭炎、正対麻痺など」

1.機序(後頭神経と頭痛)

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 一般的に、ペインクリニックで行われる後頭神経痛に対するブロック治療は、大後頭神経では上項線上の外後頭隆起より外側約2.5㎝、小後頭神経はさらにその外側2.5㎝、小後頭神経はさらにその外側2ポイントで、これらは神経が皮下に出る部位を目標にした方法です。しかし、鍼治療では、これらのポイントへ刺しても効果は期待できません。当然ながら、鍼の先から麻酔薬が出るわけがないからです。

 大後頭神経痛を絞扼性障害としてすえた場合には、さらに中枢で、頭半分棘筋および下頭斜筋の貫通部を原因と考え、これらの筋を目標に刺鍼します。

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 このポイントは、両筋が重なっている第1頸椎横突起の斜め内側下ないし、横突起の外側斜め下より内側上方向に向けて刺鍼を行う。この刺鍼によって後頭部に放散痛を得た後留鍼を行う。刺鍼後数分で頭痛は軽快します。この方法は、頭痛の大半を占めている、いわゆる緊張型頭痛にも同様に効果的です。

 後頭神経痛は、頭頂部で三叉神経と吻合しているために眼窩部、および眼の上や奥にも痛みを生じますが、このような痛みや側頭部の痛みに対しては、乳様突起下に深刺することで著効が得られます。
※慢性頭痛の原因の90%は、長期間の頭痛薬の使用によるものと言われています。これは、急性期には痛みを起こす発痛物質の中に、その後は鎮痛作用に変化する物質があるため、長期間鎮痛剤を服用することで逆に鎮痛作用を抑制してしまうことによります。
鍼治療によって、慢性頭痛は軽快しますので、鎮痛剤服用の中止できる好機となります。

大後頭神経

 大後頭神経は、一般的な解剖学書では、第2頸神経の後枝を起始として、環椎と軸椎との間で下頭斜筋の下縁に出て内側上方に向かい、深頸筋に運動枝を与えた後、頭半棘筋、僧帽筋を貫いて後頭動脈とともに上り、上項線の付近で皮下に現れると記されています。

 しかし、後頭神経痛患者の手術によって、その原因として、下頭斜筋(OK Sun Kim,2010)および頭半棘筋(Byung-chul Son, 2013)による絞扼性障害であったとする症例が報告されています。また、後頭部の痛みの原因として、C1も関与します。C1後枝は深項筋の上部を支配する純運動枝と思われがちですが、独立皮枝が存在し(熊本,1972,国分1984)、このC1後枝由来の知覚線維が下頭斜筋部において大後頭神経に吻合しており、大後頭神経痛の発生に関与することが指摘されています(苛原,1989)。さらに、このC1後枝は副神経の脊髄枝とも吻合しています(LangJ,1986)。

 これらの知見と治療経験から、大後頭神経痛の発症には項部筋群の緊張が関与しており、原因として僧帽筋も重要ですが、下頭斜筋および頭半隷筋の緊張による絞扼性障害として捉える視点が臨床的に重要であると言えます。

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