鍼とは

鍼の太さ・刺入方法

鍼の太さ

 鍼施術では、通常直径0.12mm~0.30mm程度の極めて細いステンレス製の鍼をツボに刺鍼します。
 注射針の太さは、約0.7~1.2mmに対して、鍼灸でよく使われている鍼は、0.10~0.20mmと注射針の約3分の1の太さです。毛髪より細い鍼もあり、美容鍼や子供への鍼施術の際などに使用しています。
 本院で使用している鍼は、0.30mm程度の太さの中国鍼で、毛髪と注射針の間ぐらいの太さとなります。ただ、すべての患者さんに中国鍼を使用しているわけではなく、体質や病勢、病態により日本の鍼と中国鍼を使い分けて施術を行っています。鍼初心者の方に対しては、まず日本の細い鍼から施術を行います。

 鍼尖の形は、皮膚や血管を破るために、尖端がナイフのようにカットされている注射針に対して、鍼灸の鍼は皮膚や筋線維の間をかき分けて入るように、尖端が丸みを帯びているのが特徴です。

鍼の種類

 鍼施術に用いる鍼には様々な種類があり、患者さんの症状や治療目的に応じて使い分けています。
 現在の鍼施術で一般的に使用している鍼は、「毫鍼」とよばれる種類の鍼で様々な用途に用いやすく主流になっています。
 かなり専門的な話になりますが、「毫鍼」は、「古代九鍼」のひとつの種類の鍼で多様な症状に応じて他の種類の鍼が用いられます。ただ、九鍼は古代にまとめられた鍼であり、他の種類の鍼はほとんど使用されていません。簡単にそれぞれの用途を紹介します。

 下図に九鍼を示していますが、右から①鑱鍼(さんしん)、②圓鍼(えんしん)、③鍉鍼(ていしん)、④鋒鍼(ほうしん)、⑤鈹鍼(はしん)、⑥圓利鍼(えんりしん)、⑦毫鍼(ごうしん)、⑧長鍼(ちょうしん)、⑨大鍼(だいしん)からなります。
①~③は押す鍼で、あん摩の補助具として発達していきます。
④と⑤は切る鍼で、排膿や瀉血に用います。
⑦は現在使用される刺す鍼で、それより太く鋭利なのが⑥、長いのが⑧となります。
⑨は鍼が太く、痙攣や腫物に使用され、燔鍼・火鍼・焼鍼とも呼ばれます。

 本院でも基本的には「毫鍼」を用いますが、症状によっては「長鍼」や「大鍼」を用いることもあります。

鍼の刺し方

 刺入するときは、管鍼法といって円形の金属あるいは合成樹脂製の筒を用いる方法、あるいは筒を使わずに直接鍼を刺入する燃鍼法(中国で主に行われている術式がこれになります)がありますが、日本においては無痛に近い刺入を行うことができる管鍼法が主流となっています。

図 管鍼法(日本で主流となっている鍼の刺入方法)

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