腰痛と伝統中医鍼灸

1.概念

 慢性腰痛とは、3ヵ月以上痛みが継続する腰痛のことを言います。軽い痛みから激痛まで、痛みには持続的なものもあれば間欠的なものもあり、特定の姿勢や動作が痛みを誘発することが多くあります。激痛と軽度の痛みが交互に起こったり、持続的な痛みを感じつつ、時に強みが再発する場合もあります。

 慢性腰痛の70%は変性椎間板内の小外傷、椎間関節の問題、仙腸関節や靭帯の捻挫などが関与している可能性があり、診断的ブロックならびに鍼治療が役立つことがあります。腰椎の分節を構成する複数の構造的な問題が重なると、「脊椎不安定性」が出現する場合もあります。一方、慢性腰痛では身体的な要因のみならず、心理・社会的な要因が関与することが少なくなく、職場などの環境調整が必要な場合もあります。癌や骨折のような深刻な状態は、腰痛の1%以下です。しかしこれといった原因がはっきりしない腰痛も存在し、これがいわゆる「非特異性腰痛」と呼ばれるものです。

2.代表的疾患

脊柱管狭窄症

 神経根型LCSに対する鍼灸施術は、有効性があり、QOLの向上とその維持が可能となり、本疾患に対して有効性が認められています。
 粕谷先生の論文報告では、発症発現因子といわれている神経の動的圧迫や神経炎症・血流障害に対し、鍼治療が病変局所近くの神経根出口付近や椎間関節周囲の軟部組織の緊張を緩和させ、疼痛症状を改善するとされています。

脊椎分離症・脊椎分離すべり症

〔概念〕
脊椎分離症・脊椎分離すべり症は、腰椎に多くみられますが、他の脊椎部位でも発生することがあります。脊椎の分離は、椎弓に外力が繰り返しかかることによる疲労骨折が原因で起こると考えられています。また、分離すべり症は椎間関節の安定性が損なわれ、椎体が前後にずれた状態です。
〔原因〕
 椎骨の一部である椎弓部に亀裂が生じることによって、脊椎分離は発症します。生まれつき離れている先天性の例もありますが、ほとんどの場合は転倒や過度な伸展負荷などに伴う疲労骨折がかかることで微小な骨折が生じやすい。 脊椎分離すべり症は脊椎分離症から進行して生じます。さらなる負荷が加わると、完全に椎弓の分離部が破綻して椎体が前方にすべり、椎間関節や周辺の靭帯に影響を及ぼします。
〔症状〕
 椎体のずれの量が大きいほど、椎間関節や靭帯に刺激が加わり、その分だけ痛みも大きくなります。また、神経根が刺激されると、片側あるいは両側の下肢痛・痺れが起こります。

脊柱圧迫骨折

〔概念〕
 通常、骨は加齢とともに脆弱化しますが、健康状態の悪い若年者でも骨の脆弱化は生じ得ます。骨の脆弱化により骨強度が低下しますと、転倒や急な体の動作により、脊椎が圧縮され、椎体のヒビ、骨折が生じます。特に胸腰椎に生じやすい特徴があります。
〔原因〕
 骨粗鬆症は骨を脆弱化させる最も主要な原因で骨折を伴いやすいです。骨に含まれるミネラル量が減少すると骨密度が低下し、骨折しやすくなります。女性は、ホルモンのバランスが大きく変化する閉経後に骨粗鬆症になる割合が高まりますが、男性も加齢に伴いある程度は骨粗鬆症になります。ヘビースモーカー、アルコール依存症、運動不足、その他にも摂食障害(拒食症など)後や、体重が増えず極度に痩せている場合は、骨粗鬆症になるリスクが高まります。
〔症状〕
 脊椎圧迫骨折が発生した場合は、腰や背中に突然の激しい痛みを伴います。下位腰椎が骨折すると痛みは骨盤付近に出現します。神経が刺激され、下肢に痛みやしびれが起こる場合もあります。上背部(胸椎)の骨折は、胸への放散痛や呼吸苦を伴うこともあります。痛みが軽減し、ある程度動けるようになるまでに数週間かかってしまいます。
 脊椎圧迫骨折は特別な治療を受けなくても数週間で自然に治癒しますが、脊椎変形に伴う姿勢異常が永続的に残ってしまう場合があります。

椎間板ヘルニア

〔概念〕
 椎間板は椎体と椎体の間に存在し、脊椎にかかる衝撃を和らげるクッションの役割をしています。椎間板は、中央に位置するやわらかいゼリー状の組織と、線維性の硬い外層で構成されています。外層に亀裂が生じ、中心部にあるゼリー状の組織が飛び出すと、突出部位周辺の神経根を圧迫することがります。
〔原因〕
 日常生活でのいかなる動作であっても椎間板に過負荷がかかると、椎間板ヘルニアになる可能性が高まります。頸椎でも発症しますが、腰椎で発症しやすい特徴があります。椎間板の変性及び亀裂は、加齢に伴い生じやすく、中年層の人が急に腰をかがめたり、重量物を不安定な姿勢で持ち上げるとヘルニアを発症する可能性が高まります。
〔症状〕
 ヘルニアの部位によって症状は異なりますが、通常強い痛みと体動の制限を生じます。持続性の腰痛に加え、臀部、鼡径部、下肢に痛みが放散しますが、典型的には坐骨神経痛が発生し、足先にかけて痺れやヒリヒリ感が出現することもあります。頸椎でもヘルニアは発症し、肩や腕、場合によっては手指まで痛みが放散し、顔を左右も向けたり頸部を前後に動かすことが困難になる場合があります。痛みは通常、片側性です。

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